ナディアと執事

ナディアには幼い時から若くて優秀なサミール(Samir)という執事がついている。
執事は10代の頃に父を亡くしたが、父の知り合いであったナディアの父に引き取られ、
それからバハリ家に勤めているのだ。
彼は最初からほぼ、ナディアの専属執事であった。

だから、1928年にナディアが上海に留学しに来た時に、彼はナディアに同行してきた。
彼はナディアの8歳上。心の内でナディアに恋をしていたが、
身分違いと考えて、ナディアとの結婚はあきらめていた。

しかし、ナディアは彼をパートナーと意識している。
ナディア「結婚するかしないかは関係ない。彼は私の(ビジネス含む)パートナーよ」と、関係を宣言している。

この時のサミールの気持ち(ナディア様、貴方のお心は十分に理解しております。
貴方のためなら、私は何でもできる。しかし今はまだ、貴方の美しさが怖いのです。
ですから、私が貴方の横に立つのに相応しくなれるまで、もうしばらくお待ちください……)

二人の関係を聞いたVVは「ナディアはムスリムだから古い体質なのかと思ったら、結婚を前提としないパートナーだなんてね」
MG「いちばん新しい考え方なんじゃない?」

1929年。ナディアがマリア女学校の2年生になったある日、ナディアの父が上海のナディアの商会を訪問しに来た。
ナディアの父は、ナディアとサミールに久しぶりに会って「お前たち、いつ結婚するのだ?」
ナディアとサミール「はあ?」
父の話「お前の父親は、私の小学校からの友人で、裕福ではなかったが、実に優秀な男だった。
若くして亡くなったので、援助のつもりで執事としてお前を雇って、うちで働かせてきた。
お前は父に似て優秀な男であり、ナディアもよく信頼しているから、二人が『卒業したらすぐ結婚する』と考えているとばかり思っていたのだが……」

サミール「しかし、私にはまだ、ナディア様を支えるだけの経済力が……」
ナディア「お金など関係ないのに」
父「そう、金など、問題ではない。関係ないが、お前は銀行に8千元ほど金を預けているのではないか?」
ギクッとするサミール。
父「私はお前が昔から、コツコツと金を貯めて投資をしていたことを知っている。その金も汚いものではないだろう。
税金の申告もしているようだし、最近では不動産も持っているようだな」
サミール「そこまでご存知とは」

父「8千元では足りないと思うお前の気持ちも分かるが、ナディアのことも考えてやってくれ。ナディアは第一夫人の長子だが、
ザンジバルでは遺産は親族で分けるのが決まりだし、相続では女は男の半分しか遺産を期待できない。
ナディアは、自分で生きていく力を持たねばならない。そのためにはお前の力がいるのだ」

後でこの話を聞いたMG「結局、ナディアパパがいちばんモダンな考えの持ち主だったみたいね」
VV「早く結婚すればいいのに。赤ちゃんは、いつかなぁ?」
MG「卒業もしてないのに、気が早すぎるわよ」

【2026-08-08/260423-1(2)】