1920年代の上海は、列強の権益や都市の拡張に伴い、主要な陸路交通拠点として鉄道網が急速に発展・統合されつつあった。
■1920年代の主要路線
京滬線(けいこせん)・滬寧鉄道(こねいてつどう) / 上海〜南京
日本語読み: けいこせん・こねいてつどう
ピンイン:Jīng-Hù Xiàn(ジンフー シエン)・Hù-Níng Tiělù(フーニン ティエルー)
開通:1908年
特徴:上海と清朝(後に中華民国)の首都・主要都市を結ぶ重要幹線。イギリスの資本と技術によって建設され、長江沿岸の物流・旅客輸送を支えた。
滬杭甬線(ここうようせん)・滬杭線(ここうせん) / 上海〜杭州
ピンイン: Hù-Háng-Yǒng Xiàn(フーハンヨン シエン)・Hù-Háng Xiàn(フーハン シエン)
開通: 1909年(上海〜杭州間)
特徴: 浙江省・杭州方面へと向かう南の幹線。1910年代半ばに京滬線との連絡線が整備され、南北の鉄道ネットワークが一本に繋がった。
淞滬鉄道(しょうこてつどう)/上海〜呉淞*
ピンイン: Sōng-Hù Tiělù(ソンフー ティエルー)
開通: 1898年(中国初の旅客鉄道「呉淞鉄道」の路線を改編)
特徴: 上海市街地から黄浦江・長江の合流地点近くに位置する港町・呉淞(ウーソン)を結ぶ短距離路線。貿易港や軍備施設との物資輸送に活用された。
*呉淞
日本語読み:ごしょう・ごそう
ピンイン:Wúsōng(ウースン)
■ターミナル駅とネットワークの構造
上海北駅(しゃんはいきたえき)・上海北站(しゃんはいほくたん)
中国式(ピンイン): Shànghǎi Běizhàn(シャンハイ ベイジャン)
⇒旧老北站(きゅうろうほくたん・きゅうろうきたえき)
中国式(ピンイン): Jiù Lǎo Běizhàn(ジウ ラオ ベイジャン)
閘北区(共同租界の北側)に位置するイギリス様式の大型ターミナル駅。上海鉄道網における最大の拠点。京滬線・滬杭線・淞滬鉄道が集結し、当時の上海の玄関口として激しい混雑を見せた。
上海南駅(しゃんはいなんえき)
ピンイン: Shànghǎi Nánzhàn(シャンハイ ナンジャン)
⇒旧南站(きゅうなんたん・きゅうなんえき)
ピンイン:Jiù Nánzhàn(ジウ ナンジャン)
滬杭線の初期ターミナルとして南市地区に建設。1910年代後半に連絡線で北駅と直通化した後も貨物・旅客双方で機能。
市内連絡線
上海の市街地を取り囲むように敷設された環状の連絡線により、南京方面(北)と杭州方面(南)の直通運行が可能となった。
■1920年代の歴史的背景と特徴
1920年代の上海鉄道網は、列強の権益の歴史を色濃く反映しながらも、上海を中国最大の近代経済都市へと成長させる基盤としての役割を果たした。
租界と物流の発展:
共同租界やフランス租界を中心に経済が急成長する中、港湾部(黄浦江沿い)と内陸都市を結ぶ流通の要として鉄道の価値が高まった。
軍閥混戦による影響: 1920年代は北京政府傘下の軍閥同士による内戦(直奉戦争など)が相次ぎ、上海周辺の鉄道網も軍事輸送として一時接収されるなど、運行の混乱がたびたび発生た。
国民政府成立(1927年):
北伐を経て南京国民政府が成立すると、南京が首都となり上海は経済の中心としての役割が強固になりました。これにより京滬線(上海〜南京)の戦略的重要性が増すこととなった。