情報屋チンパン

夜のハイキング事件のあと、チンパンは青幣からも疎外され、ひとりで日々を過ごしていた。
チンパン(まったく……VV(薇薇)もアッシュ四世も、ちょっと脅かしてやろうと思っただけなのに。本気で長い銃で撃ってきやがって……怖えじゃねえか)
チンパン(ニューヨークの何たらいう奴に頼まれたが、VVもアッシュも子供かと思ったら子供じゃねえ。本当に恐ろしい連中だ)
「うう、寒い……」

仕事があるのかないのか、街をぶらつき、家に戻っては粗末な食事をひとりでとる。
(金さえあれば……)と悔しそうにVVやアッシュのことを思い返す。

ある日、チンパンが街を歩いていると、
「オッス、チンパンじゃん。久しぶり」
と声がかかった。驚いて振り返ると、イギリスの新聞売りのような格好をしたVVとMGが立っていた。

VV「この間の件は済まなかったね。あんたが一生懸命儲けようとしてたのに、最後はうちらだけが儲けちゃって。この埋め合わせは必ずするから」
チンパンは無言。
MG「ご飯、ちゃんと食べてるの?」
チンパンは驚いたまま固まっている。

VV「そうだ……今、こんなのしかないけど、これあげるよ」
チンパン「これは?」
VV「幸福食堂の食券。おいしいよ。一度食べに来てよ」
VVとMGは券を渡し、手を振って去っていく。
MG「野菜も食べなさいよね」

チンパンを遠巻きに見ていた男が、さっと近寄ってきた。
「チンパン、お前、VVと知り合いなのか?見直したよ」
チンパンは動揺しながら、
「そんな大したもんじゃねえよ」
と言いつつ、不思議な表情で帰っていく。
周りの人々がチンパンを見ているが、その目は今までと違っていた。
男「へえ、チンパンって、VVの知り合いなのか」

数日後。幸福食堂のカウンターで定食を注文するチンパン。
背中を丸め、居心地悪そうに辺りを見回している。
入口からVVが戻ってきた。
VV「あ、チンパン、来てたんだ。何食べてるの?定食?ねえ、この人に餃子を追加して」
チンパン「VV……」
MG「私たち、またすぐ行かなきゃいけないから、ごめんね」
VV「またね、チンパン!」
店員も客も、チンパンを見る目が変わっていた。
客「この人、VVの知り合いなんだ」

何日かして、チンパンは幸福商会を訪れ、VVの部屋に通された。
VV「チンパン、来たんだ」
MG「顔色が良くなったね」
チンパンは一枚のメモを差し出す。
「情報が入った。やるよ」
VVとMGは紙を見て目を見開く。

VV「すごい……米軍に納品する食材のリスト。本当にくれるの?」
MG「これなら、寄港する軍艦の数が推定できる。いくらで売ってくれるの?」
チンパン「金ならいらない」
VV「え、そんなの悪いよ」
チンパン「その代わり、幸福食堂の食券をくれ」
MG「100枚? いや、1000枚かしら?」
チンパン「いや、10枚でいい。それで3日食えるからな」
うつむき加減ながら、チンパンの表情はどこか満足していた。

VVはチケットを渡しながら言う。
「チンパンが来たら、餃子をサービスするように言っとくよ」
チンパン「頼むよ。俺は幸福食堂の餃子がけっこう気に入ってる」
来た時より少し背筋を伸ばし、チンパンは帰っていく。

MG「本当に3食とも幸福食堂で食べるつもりかしら。お金ももらっておけばいいのに」
VV「いいんじゃない。おいしいんだから」

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