1928年の上海、紅江区のカフェ「幸福1号店」の店内。
VV、MG、マナ、ナディアの4人が店を始めてようやく1ヶ月。
営業を終え、湯気の立つお茶を囲んでいた。
VVは店内をゆっくり見回しながら、ぽつりと言った。
VV「幸福1号店も、やっと軌道に乗り始めたね」
MGは肩をすくめる。
MG「軌道に乗ったって言うけど、まだ1ヶ月しか経ってないわよ」
VVは明るく笑った。
VV「1ヶ月できたんだから、これを積み重ねれば10年でも20年でもいけるよ!」
マナが感心したように頷く。
マナ「VVさんなら、本当にできそうですね」
ナディアも微笑む。
ナディア「問題ないでしょう。ふふ」
そのとき、VVがふと真顔になり、茶碗を置いた。
VV「……私、食堂もやりたいんだ」
MGは思わずお茶を吹き出した。
MG「ちょっと! あんたはいつも急だけど、今度はまた何でよ」
マナは冷静に帳簿のことを思い浮かべる。
マナ「財務上、大丈夫かどうか、検証した方が……」
ナディアも珍しく慎重な声を出した。
ナディア「今回は問題あるかもしれないわね」
VVは少し照れたように笑い、話し始めた。
「私が食堂をやりたい理由というのは、実はね…」
1920年代初め、上海の下町では「運財童子(うんざいどうし)」が出るという噂があった。
食事の時間になると、知らない子供がひょっこり食卓に混じっている。
どこの家の子かと思って聞いてみても、誰も知らない。
気づくと姿が消えていて、代わりに 袁大頭銀貨 が一枚置かれている。
その銀貨で数日分の食費が賄えたという。
マナが少し身をすくめる。
マナ「怖いですね……。インドでも、最高神ヴィシュヌの化身クリシュナが幼い頃に家に入り込んでいたずらをしたという話があります」
ナディア「ザンジバルの精霊シェタニも、子供の姿で家や村の境界に現れたという話があるわ」
MGが首をかしげる。
「で、真相はどうだったの?」
VV「私、小さい時にね、よく知らない家で勝手にご飯をご馳走になってたんだよ。
知らない子と遊んでるうちに、気づいたら食卓に座っててさ。
悪いから銀貨を一枚置いてきてたんだけど……それが袁大頭銀貨で、今思うと払いすぎだったね」

MG「それ、犯人は完全にVVだったじゃない!」
VVは少し遠くを見るように言った。
VV「私の家は気取った食事しかしなくてね。
だから、下町の大家族の中で食べるご飯が大好きだったんだ。
それで、いつか食堂屋さんになりたいって思ったの」
ナディア「幸福1号店を始めた理由も、幸福食堂をやりたい理由も、そこにあったのね」
マナは嬉しそうに笑った。
マナ「いいですね、みんなで食べるご飯!」
VVは力強く言った。
VV「ご飯は、みんなで食べたほうが美味しいんだよ。絶対に」
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