
その「数人」とは、VV(薇薇)・MG(マリゴールド)・マナ・ナディアの1年生4名である。
マックの母親の教育方針は、「女は良妻賢母となり、働く男を助けるべき」というもの。
だから、学校帰りにカフェでおしゃべりしているVVたちの姿が理解できない。
マック自身も真面目で、母親の価値観をそのまま受け入れているため、生徒会長として「あの子達、大丈夫かしら」と心配していた。
母親は校長にさらに詰め寄る。
「VVさんという子は授業中に居眠りをし、放課後はカフェに入り浸っているそうじゃありませんか。そんな子が将来、ちゃんとした主婦として夫を支えられるのか心配です。女が自分で働いて稼ぐなんて(私を除き)普通は無理なんですから」
校長は穏やかに答える。
「VVさんは自分で商会を立ち上げておりまして、夜は仕事で忙しいのです。昼に居眠りしてしまうこともありますよ。
カフェは『幸福1号店』といって、彼女が経営しているお店です。他にもレストランを持ち、商店街の会合にも参加していると聞いています」
母親は驚く。
「え、では将来は……」
「結婚されるかどうかはご本人の意思ですので分かりませんが、ご収入は十分にあります。ご心配には及びませんよ」
母親は続けて尋ねる。
「では、あのMGさんは?VVさんのお手伝いだけでは暮らしていけませんでしょう?」
「MGさんも、小さいながら商船を所有しているとか。海外との交易を行っているようです。他にも新聞社を持っているとか……」
「マナさんは?まさか会社などは……」
「マナさんは司法試験に合格されています。将来は弁護士か裁判官になられるでしょう。今は当学で社会勉強中です」
「ナディアさんは?」
「ナディアさんは世界的な富豪の娘さんです。貿易の勉強のために上海へ来られています。VVさん、MGさん、マナさんと交流し、良い経験を積んでおられますよ」
母親は4人をすっかり見直し、その後、自身の講演会では「女性の自立」をテーマに語り、本を執筆するようになった。
そしてマックに「幸福1号店を見てきなさい」と勧める。
幸福1号店にて
マック「こんにちは」
VV「あ、マック先輩、いらっしゃい」
店内を見回すと、商店街の人々、主婦、日本軍人、アメリカ軍人など、客層は実に多彩だった。
マック(ここ、勉強になるわ……!)
マック「あなた達の生き方を見て、私も自分の人生が変わる気がするの。もっとあなた達のことを知りたいわ」
VV「喜んで!」
その様子を、店内で話を聞いていたレオンがちらりと見た。
(こいつらが本業以外にスパイや泥棒をやってることは……知らないままの方がいいだろうな)
【s00121】